今、多くの人が自分の未来に対して色々な事を考えている事と想像します。
もちろん、この問に正解なんてありません。僕も常日頃からこの大きな大きな課題に対しては考えに考え、自分の答えを模索して、今に至ります。
その結果、僕は日本を出ることにチャレンジしたわけですが、本日はまず僕がそう考えるに至った背景について少し掘り下げていこうかなと思います。
海外を一度諦めた、10代後半
僕は小学生の時から親のすすめで英会話教室に通っていました。高校を卒業し美容師を志すことを決めた時に、なんとなく海外で働きたいなと思っていました。まだ10代後半ですから、もちろん大した理由なんて無く、です。なんか、いいじゃん!?くらいな。
英会話教室は中学の時に既にやめていました。ですが先生の事は凄く好きで影響を受けていたので、美容師の専門学校あたりの時期に、すごく久しぶりにこの件について相談に行きました。
相手は英会話教室の塾長です。『英語は大事だよ〜世界に目を向けなよ〜』と常日頃から言われている感じだったので、当時の僕は背中を押して欲しかったんだと思います。そして具体的なアドバイスを貰いたかったんだと思います。
しかし結論から言うとその返事は予想と正反対のものでした。
『美容師になりたいなら、日本で勉強しなさい。海外に出るのはその後が良い。』と。日本の技術はレベルが高いから、日本で勉強しなさいと。
ちょっと拍子抜けして、あれ〜〜〜って思いながら帰宅したことを今でも鮮明に覚えていますが、先生をリスペクトしていたので、不思議とすーっと中に入ってきました。その日からしばらく、海外に出ることは心の奥深くに押し込められ、しばらくは頭の中から消え去る事になります。独立開業して、サロンが軌道に乗るまでは。
沖縄移住・大震災・独立開業・etc…
その後は我武者羅に美容師として成熟する事に向き合います。がっつり遊びながら。この間の重要なポイントは、
- 東京から沖縄に移住、大移動したこと
- 俗に言うドライカット、エフィラージュカットの習得に本気で取り組んだこと
- 世の移ろいが猛スピードで、数年であらゆる当たり前が塗り替えられていったこと
- エフィラージュカットとの出会いと事業経営が視野を大きく広げるきっかけになったこと
です。
拠点を大きく移動させると、当然そこに住む人やカルチャーも大きく変わります。それに併せて自分を調整する事は非常に興味深く楽しい経験となりました。
異次元のカット技法、エフィラージュカットに取り組み、パリの職人(美容師たち)の精神に触れ、大きな衝撃を受けました。
事業を営む経営者になったことで、今まで以上に視野を広く持つ必要性と、未来を見通すチカラを養う事の重要性に気付かされます。そして子供が産まれ、子どもたちの将来を本気で考える必要性も猛烈に感じるようになります。
その間、911同時多発テロがありました。東日本大震災がありました。一瞬の出来事で、今までの当たり前が次々に崩れ去り、年々美容師で有ることに有り難さを感じるようになりました。他人に媚びず、自分のチカラで人生をクリエイトする生き方に強い確信を感じるようになりました。
結果、様々なスタイルの美容師が存在する中で、僕の美容師としての信念は、
【クオリティーを追求し、知識と技術力を磨き、お客様と真剣に向き合う】
という方向に固まりました。効率を追求し、工場での大量生産の如くヘアースタイルをボコボコ作っていくスタイルからは距離をおきました。
そして、一度押し込めた【世界に出る】という思考が、20年の時を経て再浮上します。
建前はリスクヘッジ。本音は知的好奇心?
沖縄で独立開業して6年。有り難い事にサロンは常にご予約で埋まっていました。正直、そこで守りに入って現状維持で行くことも出来ましたが、世を俯瞰してみていると…もうひとりの僕が常に訴える心のモヤモヤと格闘する日々がしばらく続きました。
まず大前提として、僕は日本が大好きです。でも、もう長いものに巻かれて生きる道を自ら閉ざした僕は、ここ数年で起きてきた予測不可能なあらゆる事態に自ら備える必要がありました。誰もが知っているレベルの大手企業の経営不振、電力会社の危機、日本の深刻な人口減少予測、不安定な世界情勢・・・そんな中では、
- 自分と家族の身は自分で守らないといけない
- 想定外が起きた時、1箇所拠点は心もとない
- より多くの想定外を回避するには、拠点の分散が理想的
- しかも、なるべく遠く。できれば海外
- 幸い職種的に、不可能ではない気が
こんな事を強く思うようになりました。更に、海外に出ると仮定すると、想像するに、
- 相対的に世界と自分が安定している時に出るのがベスト
- 出ていく事に比べて、帰ることは遥かに簡単であろう
- つまり、駄目なら帰ってくればいいじゃないか
- 僕の武器は僕の身体なので、基本的に失うのはお金だけ
- 失敗して多くのお金を失っても、経験値は必ず大きく跳ね上がるから無駄にはならない
- 家族を巻き込む事になるが、この経験は子どもたちにとっても必ずプラスになる(異文化に触れる。英語の習得。)
こう考えました。総括すれば、リスクヘッジです。これは実際に日本を出た今でも基本的には変わりません。自分の周りの人には、この事について考えてみることを本気でおすすめします。もちろん、大変です。ですけど、何もやらないと何も始まりませんし、いざ大きなピンチに出くわした時に動くのでは遅いので、準備しておくことが大切だと思います。
併せてもう1つ重要な…知的好奇心
でも、リスクヘッジだけではやっぱりつまらない!!!んです。一度きりの人生、悔いなく生きたいし、楽しくなくちゃ意味がない!そこも同時に満たしている(もしかしたらこっちがメイン!?)のが大移動なのです。
東京から沖縄に移住したときも、一番の理由はこの知的好奇心を満たすことでした。沖縄の文化に触れ、新しい環境で自らのチカラで生きることを楽しみたい。
今回も、近いものがあります。
- 美容師として、世界で戦えるエフィラージュカットの習得を志し
- 日本人にとどまらず、他の人種のヘアデザインに関わりたいと思うようになり
- それにはまだまだ修行が足りない
- 日本では日本人の髪での仕事がほとんど
- なので、新しいステージが必要・・・
こう考えるようになりました。
しかし、海外へ出るためのコネもチャンスも見えてこなかった
ここが問題でした。数年間。
数年間、この事を常に考え、行動(ハサミ持って、旅)、考え、行動、行動。
結果、細い細い糸を手繰り寄せることに成功し、今があります。
僕が出来たので、他の人にも出来る。間違いなく出来ます。
同じ様に考えている人がもしいらっしゃらば、絶対に諦めないでください。今は、準備期間には最適ですし、世界は今後、より分断に向かうと思います。どんどん、日本から出にくくなるでしょう。海外が難しくても、国内移動も視野にいれるべきだと思います。いつでもサッと動けるように身の回りを常に軽く保ち、イメトレしておくだけでも良いと思います。
大移動は何より楽しいですし、まさに一石二鳥。いや、二鳥どころじゃない。移動して新しい文化にアジャストする行為は、人として大きく成長できます。
是非一度、考えてみてください。
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